こちらのグラキリスはふっくらとした塊根部と力強く伸びる枝が特徴的です。塊根部は丸みを帯びており、まるで水を蓄えた壺のような形状をしています。直径は約90mm、高さは170mmと、コンパクトながらも存在感のあるフォルムを持ち、黒い鉢との組み合わせによって、より一層その造形美が際立っています。

表面の質感には、滑らかな部分とザラつきのある部分が共存しており、時間の経過とともに刻まれた小さな傷や模様が、植物の生きた歴史を感じさせます。色合いはダークブラウンからグレーがかったトーンを持っています。

枝はしっかりとした質感を持ち、先端に向かって細くなる独特のフォルムが特徴的です。3本の枝が絶妙なバランスで分岐し、まるで力強く空に向かって手を伸ばしているかのような印象を与えます。枝の表面には細かい棘のような突起が並び、触れるとザラザラとした感触が感じられます。これは、乾燥した環境に適応し、外敵から身を守るために進化した特徴の一つです。

全体として、成熟した個体ならではの落ち着いた雰囲気と、自然が生み出した造形美が感じられるパキポディウム・グラキリスです。時間とともに成長し、より個性的な姿へと変化していく過程を楽しめる点も、この種の魅力といえるでしょう。観賞価値の高い一点として、その美しさを存分に堪能できる個体です。