Habitat Style Euphorbia polygona
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ユーフォルビア・ポリゴナ
Euphorbia polygona
南アフリカ東ケープ州。
この地域の風景は、いわゆる砂漠のイメージとは少し違う。なだらかな丘陵が連なり、地表には岩と砂が混じり合う。草原と呼ばれる場所もあるが、土は浅く、水はすぐに抜けていく。植物は「育つ」というより、「残る」ことでそこに存在している。
ユーフォルビア・ポリゴナは、そうした土地に適応してきた種だ。
葉を持たず、多角形の稜を持つ茎だけで光合成を行う。
稜線に沿って並ぶ棘は、外敵への防御であると同時に、直射日光を分散させる役割も担っている。丸みと角ばりが同居するその姿は、意匠というよりも構造に近い。環境への適応が、そのまま形として現れている。
東ケープ州の生育環境と、群生という選択
自生地では、ポリゴナは単独で立ち上がることは少ない。
岩の縁や砂礫が溜まった場所に、塊状で群生するように生育する。背を伸ばせば風に晒され、乾燥が進む。だからこの植物は、高さを捨て、密度を選んだ。
日照は強いが、常に直射ではない。
岩や地形によって影が生まれ、その陰と陽の境界でポリゴナは形を保つ。東ケープ州の環境は、極端な条件が連続するというより、「厳しいが単調ではない」。その複雑さが、稜の締まった姿をつくっている。
RePlantsのハビタットスタイル
本株は、こうした自生地の条件を踏まえ、ハビタットスタイルとして仕立てている。
露出した岩、粒度の異なる用土、植物の配置。それらは装飾のためではなく、ポリゴナが本来選んできた環境を鉢の中で整理し直すための要素だ。
岩は背景ではなく、根域を制限し、水の流れを決めるために置かれている。
植物は、その制約の中で無理なく落ち着く位置を選び、結果として塊としてまとまる。完成された景色ではなく、「この条件下で生育している途中の断面」を切り取った構成と言える。
RePlantsのハビタットスタイルは、自生地の再現ではない。
原産地の環境を調べ、その条件を分解し、鉢の中で再構成する。その過程で生まれる“想像の余地”こそが、この仕立ての核にある。
育て方は、環境をなぞるだけでいい
ユーフォルビア・ポリゴナの管理は明快だ。
明るい場所と風通しを確保し、用土は排水性を最優先に組む。水やりは、用土が完全に乾いてから。頻度ではなく、間隔を意識する。
成長期には、茎の張りが増し、稜線がより明確になる。
低温期には生育が緩やかになり、見た目の変化は少なくなる。この時期は水を控え、無理に動かさない方が形は崩れにくい。
過剰な手入れは不要だ。
この植物は、世話をされることで美しくなるのではなく、環境が整っているかどうかを、形で示してくる。
鉢の中に残る、地形の感触
ユーフォルビア・ポリゴナは、部屋の空気を劇的に変える植物ではない。
だが、視線を落としたとき、そこに確かな地形が立ち上がる。
稜の重なり、塊の密度、岩との距離関係。
それらを追っていくと、南アフリカ東ケープ州の丘陵地帯が、鉢の向こうに透けて見えてくる。
ハビタットスタイルとは、植物を飾るための方法ではない。
植物がどこで、どのように形を選び取ってきたのかを、もう一度考えるための視点だ。
この一株は、その入口として十分に機能している。





