乾燥した風が吹き抜ける東ケープ州。
丘陵は段階的に起伏し、地表には風化した岩が露出している。その岩の割れ目に、自生するユーフォルビア・ホリダは根を押し込み、少ない水分と強い日射の下で形をつくっていく。

今回の一株は、そのホリダが突然変異によって**綴化（クリスタータ）**した個体。
本来の柱状成長とは異なり、茎が帯状に伸び、複数の面が折り重なるようにうねりを生んでいる。角度によって陰影が大きく変わり、乾いた地形の隆起を思わせる造形が特徴だ。

RePlantsが描いた“丘陵の裂け目”

ハビタットスタイルでの植え付けにあたり、東ケープ州に広がる岩場の構造を参照している。
風化した岩が交互に積み重なり、その隙間に土と砂が堆積する——その環境を前提に、岩の配置を組んでいる。植物がその隙間を選んで根を下ろしたように見える構成だ。

RePlantsのハビタットスタイルは実際の地形を再現するものではなく、原産地の地質や植生を手がかりにした店主の創作である。“もしこの株が現地に生えていたら、こうした場所を選ぶだろう”という想定のもとで設計している。

この株が示す生育のリズム

ホリダ綴化は、通常のホリダと同じく強光と乾燥に順応する。
成長期には日射を受けることで茎の厚みが増し、棘の発達が進む。
休眠期には生育を止め、外見の変化は最小限となるが、内部では水分保持のための調整が続く。

綴化特有の帯状の茎は、日射の方向や湿度でわずかに色調が変化し、観察する角度ごとに形態の違いが把握できる。

小さな鉢に広がる、南アフリカの地形

鉢の中に置かれた岩の配置や株の角度は、東ケープ州の岩場で見られる植生パターンを参考にしている。
植物の姿勢、棘の向き、綴化部の重なりは、現地の乾燥環境で形成される造形に近い印象を持つ。

この一株から、南アフリカ東ケープ州に広がる岩質の丘陵地帯をイメージしていただければ十分である。