アフリカ東部、ソマリア。
地図の上では荒涼とした土地という印象が強いが、実際の風景は静けさの中に独特の生命力が漂っている。低木林が点在し、白く風化した石灰岩の岩場が続く。雨の少ない季節が長く続くこの地で、ひとつの植物がゆっくりと時間をかけて姿をつくっていく。

キフォステンマ・ベティフォルメ。
塊根植物の中でも、とりわけ“形の変化”が魅力的な種類だ。

太く膨らんだ基部は、ソマリアの厳しい乾燥に耐えるための貯水庫のように見える。表面は古木の幹のようにも、岩肌のようにも見える質感をまとい、ひとつとして同じ形がない。そこから細長く伸びる枝は、風の流れを読むようにしなやかで、わずかな葉を揺らしながら季節を知らせてくれる。

成長スピードは穏やかで、派手さはない。
ただ、長い時間をかけて少しずつ膨らみ、わずかに伸びる。その変化が、育てるほどに愛着を深めてくれる。

この株が持つ、静かな魅力

写真の株は、胴回りの曲線が非常に美しい。
根元から上部に向けてなめらかに伸びるラインが印象的で、まるで土中からゆっくりと抜け出してきたかのような佇まいがある。淡い色味の皮層はところどころに質感の違いがあり、自然に刻まれた時間がそのまま残っているかのようだ。

枝先に残る葉は控えめながら、塊根の存在感を引き立てる。
全体のフォルムはミニマルで、静かにそこに「立っている」だけで画になる。その無理のない姿が、原産地の植物らしい強さと落ち着きを感じさせてくれる。

育てるということ

乾燥地帯の植物ではあるが、成長期にはしっかり水を必要とする。
用土がしっかり乾いたら水を与え、休眠期は水を控える。
強い直射日光よりも、風がよく通る明るい場所が向いている。

過度な手入れは要らない。
その代わり、ゆっくりと変わっていく姿を見守る時間がこの植物の魅力でもある。